2019年4月30日。
宮中三殿で「退位及びその期日奉告の儀」が行われ、皇太子さまをはじめとする皇族方や、宮内庁の職員なども参列されました。
この儀式で、天皇のみが身に着けることを許される祭儀の正装「黄櫨染御袍」に身を包み、退位を歴代天皇に「御告文(おつげぶみ)」を日本本来の大和言葉で読み上げられたということです。
夕方には「退位礼正殿の儀」は夕方行われ、30日をもって天皇陛下は退位されました。
祭儀の正装「黄櫨染御袍」とはどのような装束なのでしょうか。
この記事では、、「黄櫨染御袍」という衣装についてや、の読み方、意味について書いてみました。
黄櫨染御袍ってどんな衣装?
黄櫨染御袍とは、平安時代以降の日本の天皇が重要な儀式の際に着用する束帯装束の、「黄櫨染」の色の袍(衣装)。
簡潔に言いますと、黄櫨染という手法で染められた衣装ということなんです。
黄櫨染御袍ーこうろぜんのごぼう
と読みます。
この黄櫨染は、「禁色(きんじき)」とされており、天皇陛下のみが許される色となっています。
天皇陛下が着用する黄櫨染と、皇太子殿下のみが着用できる「黄丹(おうに)」という橙に似た色も禁色になっています。
黄櫨染(こうろぜん)
天皇以外使用することができない「禁色」。だが検索すると黄櫨染とされる色はオレンジに近い色から黄土色に近い黄色まで定まらない。理由として、染の難易度が高く一定の発色が難しいこと、日光の元と灯火の元で劇的に色が変わること、時代や天皇の年齢に合わせたためなどがある。 pic.twitter.com/n9RIYdu6gq— 酒上小琴【サケノウエノコゴト】 (@raizou5th) April 30, 2019
黄櫨染御袍にはどんな意味があるの?
黄櫨染御袍が天皇陛下の衣装となった背景には所説あるようですが、中国・唐の影響があったといわれています。
この時代には、黄色を尊い色として用いていたため、その流れで天皇陛下の衣装に使われたという説や、昼間に輝く太陽のような色であることが、天皇陛下にふさわしいとされた説もあるそうです。
中国からの影響はあるのかもしれませんが、渋みのある色合いは日本独特のものを感じます。
皇太子殿下しか着ることのできない黄丹(おうに)は、橙に似た明るい色で、こちらも太陽をイメージした色になっているのではないでしょうか。
日本には、その身分の人しか着ることが出来ない禁色があります。皇太子しか着ることが、出来ない黄丹(おうに)。
皇嗣は、皇太子ではありません。 pic.twitter.com/rx1oS2AIYZ— イグアナの娘 (@fukuchan415) January 12, 2019
黄櫨染という色
天皇陛下のみが着用できる黄櫨染は、山櫨の樹皮と赤の染料である蘇芳という植物でから染めた色。黄櫨染の色を出すのは本当に難しく、熟練の染師でも同じ色に染め上げることは難しいそうで、そのため歴代の天皇で若干の違いがあるそうです。
天皇陛下が皇居の「宮中三殿」の回廊に姿を見せられました。「天照大神」をまつる賢所に天皇陛下が拝礼し、「退位の礼」を行うことを伝えられる「退位礼当日賢所大前の儀」が始まりました。https://t.co/Kw9KNmKWal pic.twitter.com/TNDpYfUvmq
— NHKニュース (@nhk_news) April 30, 2019
このような儀式を見れることは少ないので、貴重な体験ですよね。
まとめ
黄櫨染御袍ーこうろぜんのごぼうと読みます。
天皇陛下が着用する黄櫨染と、皇太子殿下のみが着用できる「黄丹(おうに)」という橙に似た色は禁色になっています。
新天皇が即位し、「令和」の幕開けですね。